あいしろう blog IMAGINE

想像してみよう。それは何をもたらす? この後どうなる?   ときに楽しい夢を。ときには厳しい視点で。 

あのライブがレコード化。この感動は忘れられない!村上春樹presents 山下洋輔トリオ再乱入ライブ。

 昨年7月12日に作家 村上春樹さんが主催した山下洋輔トリオ再乱入ライブがアナログレコード化されるんだそうです。 思わず予約してしまいました。

 

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  Tokyo FM で月に1回放送されている「村上RADIO」は私の愛聴しているラジオ番組の一つです。作家 村上春樹さんが、各回のテーマに沿って自分のコレクションのレコードから音楽を紹介、かける趣向で、村上さんの音楽の知見が広く、知らない音楽との出会いがたくさんあって楽しい番組です。村上さんのトークも、その音楽のエピソードや、ユーモアのある私見が聞けて楽しいです。ときどき猫や羊が声で登場するのも可笑しいです。何せ "BOOKS, MUSIC ANC CATS"  が一つのコンセプトとのことなので。

 

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 この「村上RADIO」で昨年企画されたのが「山下洋輔トリオ再乱入ライブ」でした。7月12日に早稲田大学の大隈講堂で催され、私も観てきました。 観た後、数週間、心に余韻が残る程、衝撃を受けた、私にとって忘れられないライブです。

 

 学生運動真っ盛りの1969年に早稲田大学四号館でおこなわれた伝説の山下洋輔トリオの「乱入ライブ」を再びやってみようという企画でした。69年のライブは田原総一朗が企画し、すでにJazzミュージシャンとして有名だった山下洋輔トリオが、大隈講堂にあったピアノを勝手に担ぎ出し、バリケードで封鎖されていた四号館で行ったのだそうです。お互い争っていた複数の(その当時セクトと呼ばれていた)学生運動のグループが一緒に食い入るように音楽を聴いたとのこと。

 


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 大学の”バリゲート封鎖”の中とか、講堂からピアノを勝手に持ち出すとか、その時代を知らない私にも過激さを感じます。ピアノを担ぎ出した人には有名作家の中上健次さんがいたとのこと、”俺も担いだ”とか、後から言い出す人もいたとかで、その真偽の程はわからないそうです。

 

 その過激な「乱入ライブ」を再現しようと同じ山下洋輔トリオのメンバーで再演されたのが昨年のライブでした。

 

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 私は学生運動の時代は知りません。ジャズはモダンジャズの有名どころは結構聴きましたが、山下洋輔さんのフリージャズはちょっとかじった位でした。しかし昨年のライブの山下洋輔トリオの演奏にはパワーがあり、心に響きました。またその前後の村上さん、山下さんや観に来ていた田原総一朗さん、他のゲストの皆さんのトークで、学生運動の風を感じることができました。今とは違うすごい時代だったんだなと思います。

 

 村上さんが「あの時代には、間違ったこともあったが、理想主義的な考え、何かすればよくなるんだという空気があった。今は将来がよくなると思っている人がいない。 先が読めてしまう時代だ。 あの頃は、先が分からないけど、やればどうにかなるだろうとやっていた。山下さんのフリージャズもそういう試みだったのではないか。今の時代に、あの時代の空気を思い出さなくてはいけないと思う。」というようなことをラジオで語られていました。 心に響きます。 

 

 私には、学生運動の政治的思想や活動には共感できない部分が多くあります。しかし。世の中にあきらめないで、理想を想定することは重要だと思います。そういうことを想いながら活動し、生きていきたいなと思います。

 

ではでは。

 


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