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想像してみよう。それは何をもたらす? この後どうなる?   ときに楽しい夢を。ときには厳しい視点で。 

ブラッシュアップライフの再放送。面白くて引き込まれ、また観てしまいました。面白い

12月28日、29日の朝にドラマ「ブラッシュアップライフ」の一挙再放送をやっていて、観出すと一度観たはずなのに面白くて、止まらすずっと観てしまいました。2023年のベストテレビドラマはこれだなあ。

 

 

 

 

 

 生き返るのを繰り返す中で少しずつ違う部分と同じ部分が混じり合う展開で親しみが増し観ていて楽しくなるんですよね。4名の仲良し女性を中心とした会話のやり取りも面白いです。お話の進むテンポもいいですよね。

 

 生き返るネタって特に目新しくはないのですが、死んだときの案内人のバカリズムが宣告する生まれ変わる先がアリクイ、シロアリ、鯖、フナムシなど変なのも笑えます。

 途中、時代を象徴する遊びやドラマ、音楽などのネタが散らばっているのも懐かしくて楽しいです。 いろいろ伏線も仕込まれていてもう一回観ても発見があったりします。

 

 成人式や友達と盛り上がるカラオケのシーンも何回も繰り返すのですが再確認したり新しい展開があって飽きないです。「加藤の粉雪」は最高!

 

 主人公の安藤サクラ始め役者陣もそれぞれの役が光っていていいです。 大人以外も子供時代、学生時代を演じる役者もいいです。

 

 今年というよりテレビドラマの歴史に残る名作だと思います。

 

 正月1月3日(水)21:00~にはバカリズム脚本の新作もあるとのこと、楽しみです。

 

 この前、秋ドラマが不作だった、このままじゃネットのドラマに負けちゃう的なことを書きましたがやっぱりいいコンテンツを作ることが大事ですよね。

 

ではでは。

 

 


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秋ドラマどうでした? 私にとっては….

 12月も終盤になり、テレビの秋ドラマが終わりました。皆さんはどれが面白かったですか? 私にとっては、正直に言って今回の秋ドラマは不作でした。まあ私みたいな年齢のいった男性はターゲットにしてないんだろうけど、それでも寂しいなあ。来年もドラマは観るんでしょうが、どんどんNetflixとかのネットに移行しそうです。

 

以前のブログで書きましたが私は下記の秋ドラマを見出しました。

①『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』フジテレビ系

 

②『ゆりあ先生の赤い糸』  テレビ朝日

 

③『うちの弁護士は手がかかる』 フジテレビ系

 

④『たとえあなたを忘れても』 ABCテレビテレビ朝日系全国ネット
 

⑤『セクシー田中さん』 日本テレビ系 


また追加で

⑥『いちばんすきな花』 フジテレビ系

も観ました。

 

内、①『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』、⑤『セクシー田中さん』は途中で脱落。

 

 この中で一番面白かったのは③『うちの弁護士は手がかかる』ですね。 前に平手友梨奈がいいって書きましたが、通しではムロツヨシの一途で可笑しいキャラがよかったですね。 他の役者も粒揃いで、各話の弁護士絡みの争いの中身はちょっとありきたりながら、昔のドラマのパロディやオマージュもあって楽しく観れました。

 

②『ゆりあ先生の赤い糸』は菅野美穂のおばさん役と周りのキャラが立ってて前半は楽しかったのですが最後はみんな仲良く円満な愛の話になって、そこはいまひとつでした。 そんな中でクドカンこと宮藤官九郎の彼氏のお父さん役はよかったなあ。

 

話題の⑥『いちばんすきな花』は、この世代の男女の悩み、葛藤として理解はできるのですが、私としては興味を持てませんでした。藤井風の曲は好きです。

 

 

花

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④『たとえあなたを忘れても』は主題歌 由薫の「Crystals」の魅力でOKでした。

 

 

Crystals

Crystals

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春ドラマ「だが情熱はある」の一種しょうもない青春のリアル感、夏ドラマ「ハヤブサ消防団」のハラハラ感は、今回観た秋ドラマにはなかったですね。 

 

私としては美しい生活より、ちょっと泥臭い人の生きてるドラマに期待したいですね。

 

奇しくも亡くなった脚本家 山田太一を特集したNHKクローズアップ現代が心に沁みました。山田太一って日常の影を描いた方ですよね。

 

ではでは。

 

 

 

 

 

劇「ジャンヌ・ダルク」、映画「ナポレオン」2作品でフランスを感じた

 清原果耶 (きよはらかや) 主演の劇「ジャンヌ・ダルク」とリドリー・スコット監督の映画「ナポレオン」を観ました。 

 両作品とも時代は違いますがフランスを舞台にしたお話です。  あんなに大好きだったフランスに最近、あんまり触れてなかったなあと感じながら観ました。戦争という暗部を軸にした作品ですが、フランスやヨーロッパの歴史や人物って興味深いですね。

 

 

 

 

 「ジャンヌ・ダルク」は言わずと知れたフランスで活躍した若き女性です。15世紀、イングランドに蹂躙されていたフランスに「神の声を聴いた」と言って、突然現れ、王シャルル七世の軍を率い、イングランドとの戦いに勝利を収めるなど活躍します。その後、敵に捕らえられ、異端の扱いを受け、火あぶりの刑に処され19歳という若さで亡くなります。

 

 今回の劇はジャンヌ・ダルクを清原果耶 (きよはらかや) 、シャルル七世を    小関 裕太(こせきゆうた)が演じています。

 

 清原果耶は舞台での演技は初めてとのことですが、気の強いながら、途中から迷いも出るジャンヌ・ダルクを少し野太い声を上げて力強く演じていました。兵士の鎧を着た男っぽい姿も似合っていました。 

 

 私は彼女を2019年に放映された朝ドラ「なつぞら」で初めて認識しました。(それまでも他のドラマ等で観ていたはずなのですが気に留めていませんでした) 

 「なつぞら」では広瀬すず演じる主人公の生き別れた妹役を演じていました。年が若いときの可愛らしい姿から、和食屋の料理人として母親にもなったキリっとした姿まで、幅広い雰囲気を出せるいい役者だなあと感心していました。その後、2021年には朝ドラ「おかえりモネ」の主演や、「霊媒探偵・城塚翡翠」(れいばいたんてい じょうづかひすい)の主演など活躍していますよね。 演技力のあるいい女優だと思います。

 

 舞台は、奥から手前に少し斜めに下がった面で立体感を出し、建物等を表す装置は少なく比較的シンプルでした。

 

 セリフのある配役は焦点を絞って少ないのですが、軍隊の兵士等を演じる役者は100名以上と多く、それらが繰り広げる戦いや群衆のシーンは圧巻でした。人々が歩き、走り回る動きや、手足の動作を活かした演出は、舞台に迫力や緊張感を与えていました。そしてその中で動き回るジャンヌ・ダルクが光っていました。

 

 舞台になる地域は、ジャンヌ・ダルクが産まれたロレーヌ地方のドムレミから、シノン、オルレアン、ランス、パリ、コンピエーニュ、ルーアンとフランスの中を移動するのですが、私はそれらの周辺に行ったことがあり、少し懐かしさを感じました。

 

 ジャンヌ・ダルクは処刑された後、名誉を回復して、今やフランスでは英雄視されているとのこと。このような人が出現することがちょっと不思議ですよね。時代が古いとはいえ、神がかり的に登場する一種カリスマ的な存在に、少し恐ろしさも感じてしまう自分がいます。 

 

 またこの頃、フランスとイングランド百年戦争といわれる戦争をしていたわけですが、その背景にある王侯貴族の覇権争いも歴史の事実として興味深いです。

 

 今や世界的に有名なフランスのボルドーワインも、実はボルドー地区をイングランドが占領していた時代があり、それをきっかけにイングランドへの貿易のために発展したと聞いたことがあります。このように各国の思惑や商売、文化が絡み合っているのがヨーロッパですね。

 

jd2023.jp

 

 

 そして400年近く時代を下ってナポレオンは、19世紀に現れたヒーローです。王族を民衆が倒したフランス革命。その混乱の中、これもイングランド大英帝国)との戦いで勝利した軍人がナポレオンです。その後、あれよあれよという間に出世し、皇帝にまで登りつめます。

 映画「ナポレオン」は、そのナポレオンの半生を妻 ジョゼフィーヌとの関係を軸に描いていました。3時間近くの大作ですが、飽きることもなくじっくりと観ることができました。 

 

 ここでもナポレオンの登場、出世が起こるのがちょっと不思議ですよね。歴史ってこういう不思議なカリスマを登場させ人々を翻弄しますね。今でも専制君主的なものは存在し、日本の政治もちょっと怪しいし。世の中、不可解です。 そういえばジブリアニメのタイトルにもなった小説「君たちはどう生きるか」の中でもナポレオンが題材として取り上げられていました。この小説では英雄的な扱いでしたが、その捉え方には違和感がありました。

 

 リドリー・スコットは好きな映画監督の一人です。 燦然と輝く名作「ブレード・ランナー」を筆頭に、「エイリアン」、「ブラック・レイン」、最近では「プロメテウス」、「オデッセイ」が印象に残ってますね。

 

 

 

 

 

 

 また舞台になったパリやトゥーロンワーテルロー、そしてジョゼフィーヌが離婚後暮らすお城など、フランスを感じる映像に懐かしさを覚えました。

 

 劇「ジャンヌ・ダルク」、映画「ナポレオン」 両作品ともフランス、ヨーロッパを考えるにはいい作品でした。

 

 またフランスってパリもいいですが、地方もいいんですよね。各所にある教会やお城や街並みなどの歴史的建造物、田舎の田園風景、そして美味しい食事にワイン。そして美術館で観る美術作品。 文化の豊かな国だと思います。訪れて飽きない国です。 また行きたいな。

 

ではでは。

 

 

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オデッセイ(字幕版)

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あいみょん シングル『あのね』発売。カップリング曲がよかった

あいみょんの15枚目の最新シングル『あのね』が、12月6日に発売されました。

フラゲ

素敵なジャケットに、おまけのクリアファイルにポストカード。

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 表題曲「あのね」は、ご存じの方も多いでしょうが、映画『窓際のトットちゃん』の主題歌です。原作者の黒柳徹子さんから直々にオファーがあったそうで、すごいですね。トットちゃんの心情をイメージして書いたのでしょうか、味わい深い、いい詩の楽曲です。あいみょんの大きな魅力はやっぱり詩ですよね。今回は心情風景が見えるようです。

 またヒトの「影」も描かれています。 ヒトの「影」といえばクレヨンしんちゃんの主題歌「ハレノヒ」の最後の「影」も好きです。

 

 

 

 

あのね

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ハルノヒ

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 今回のシングルのカップリング曲が「die die die」。 この曲がとってもいいです。恋愛中の女の子の彼氏に対する気持ちを歌った曲ですが、表現がストレートでいいです。 タイトルの「die die die」って”死ね、死ね、死ね”とか”消えろ、消えろ、消えろ”のような意味ですよね。 ”死ね”といえばインディーズデビュー曲の「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」にも通じますね。 この女の子の気持ちって、男性側からすればちょっと恐いんですが、本音としてあるんでしょうね。なかなか過激な曲でいいです。

 

 

die die die

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 メインの曲は、映画やドラマの提携があったり、メジャー向け、大衆受けを狙うのが避けられないのでやんわりとした曲になりがちですが、カップリング曲はおそらく自由にできるんでしょうね。他のシングルでもいいカップリング曲がたくさんあります。

 

 あいみょんには是非、この尖がった表現は続けて欲しいなと思います。

 

ではでは。

 

以下、シングルカップリング曲達

青春と青春と青春

青春と青春と青春

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MIO

MIO

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テレパしい

テレパしい

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ユラユラ

ユラユラ

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葵

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皐月

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ディカプリオ主演、スコセッシ監督の新作映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観てきた。良かった。差別を考えさせる

 映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観てきました。3時間を超える長い作品でちょっと暗く重い内容ですが、その重厚さをいい意味で、ずしずし感じながら飽きることなくじっくり観られるいい作品でした。 やっぱりマーティン・スコセッシってすごい監督ですね。レオナルド・ディカプリオが主演ですが、彼は制作にも名を連ねています。単なる明るい作品ではなくこのような重厚な作品を手掛けるのは素晴らしいことだと思います。

 

 

 この映画は、石油を掘り当てたために裕福になったインディアンの種族を差別的に殺しながらのし上がろうとする白人の親戚一家を描いています。 原作は「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生(原題:Killers of the Flower Moon: The Osage Murders and the Birth of the FBI)」という、ジャーナリストのデヴィッド・グランが書いたノンフィクションだそうです。 

 

 

 

 

 このような人種差別から起こった大きな悲劇が、歴史的な事実として存在するんだなと改めて考えさせられます。映画の中でも映像が流れた黒人が殺された『タルサ人種虐殺』という事件もあるそうです。

 

 私はヨーロッパに住んだことがあるのですが、アジア人に対する偏見は存在しました。幸い大きな被害は受けませんでしたが、人主差別の意識が心の中にある人はいるのだと思います。私も心の中に全くないとは言えません。課題はどう振る舞うかどう行動するかなんだと思います。

 

 映画にはフリーメイソンKKKという白人の組織の名前も出ます。民族の問題も根深いですね。 日本だって国粋的な組織はあるし。

 

 この映画は、忘れがちになる人種差別、民族の問題を、事実をベースに、いろんな立場の人の振る舞い、物語を丹念につづることによって、見る人に突きつけます。

 

 出てる役者ではディカプリオ演じる主人公が結婚するインディアンを演じたリリー・グラッドストーン (Lily Gladstone)が素晴らしかったです。澄んだ眼差しとクールな凛とした表情。映画に厚みをもたらしていました。もちろんディカプリオや、叔父役のロバート・デ・ニーロの演技もよかったです。

 


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 またエンディングの映像は圧巻でした。

 

 やっぱりマーティン・スコセッシ監督はすごい監督ですね。 私はロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」からのファンです。他にもいい映画がたくさんあります。

 

 

 

 

いい映画でした。

 

ではでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉岡里帆 他 出演の劇「ガラスの動物園・消えなさいローラ」を観てきた。ちょっと悲しいお話。出演者の演技がよかった

 ちょっと前のことですが劇「ガラスの動物園・消えなさいローラ」を観ました。劇団3〇〇の渡辺えりの演出、出演は渡辺えり自身と、尾上松也吉岡里帆和田琢磨の4人。 演劇にそれ程詳しくない私は、生で吉岡里帆を観てみたいというちょっと不純な動機で観に行かせて頂きましたが、ちょっと悲しく、そして愛を感じるいい舞台でした。

 

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 「ガラスの動物園」は、テネシー・ウィリアムズ作の演劇界では有名な古典の戯曲ですが、私は題名は知ってはいたものの今回、初めて見ました。1930年代のアメリカの南部の都市で暮らす家庭での人々の葛藤を描いています。もう一本上演された「消えなさいローラ」は、「ガラスの動物園」のその後を描く、別役 実作の作品で、今回はその2本が通しで上演されました。「消えなさいローラ」は日にちによって出演者が異なりましたが、私の見た日は、尾上松也吉岡里帆の出演でした。

 

 

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 上演場所は、新宿の紀伊國ホール。子供のときから馴染みのある紀伊國屋書店ですが、ホールに入るのは今回が初めてです。 席数418とのことで、それほど大きくなく、演劇をじっくり鑑賞するにはいい劇場でした。

 

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 お話は母と姉と弟の二人の子供が暮らす3人家族の家を舞台に、 尾上松也演じる弟トムの語りをベースに進みます。 吉岡里帆演じる姉 ローラは、足が不自由なこともあり引っ込み思案で、学校にも通ってもうまく行かず家に引きごもりがち。渡辺えり演じる母 アマンダは、そんなローラのこの先の生活を案じ、どうにかローラにいい恋人ができないか気をもんでいます。弟 トムも姉を気遣っていますが、母アマンダとは意見が合わず、しばしば対立しています。 母アマンダは亡き夫の影をトムに見ているようです。

 

 ローラはガラスの動物の置物を収集し、「ガラスの動物園」と呼び大事にしています。またハイスクール時代に憧れた男性に恋心を抱いた思い出を今でも大事にしています。

 

 弟トムは、ローラの相手になれればと会社の友人ジムを食事に連れてきます。しかしそのジムこそ、ローラがハイスクール時代に恋心を抱いた相手でした。ローラはどうにかジムと話すことができ二人は会話を楽しみます。 ローラがガラスの動物園を紹介したときジムは誤って置物のユニコーンの角を折ってしまいます。これによりユニコーンは普通の馬になってしまいました。 こうやって交流する二人ですが、ジムには既に婚約者がいて二人は結ばれることはありませんでした。

 そんな悲しい結果の後、トムは母との仲も悪化し家を出、セントルイスの街を離れていってしまいます。

 ここまでが「ガラスの動物園」のあらすじです。

 

 そして「消えなさいローラ」は、その後日譚。ローラは前頭葉を取るロボトミー手術を受け、家も出ずに暮らし、弟トムが帰って来るのを待っています。そこへ葬儀屋を名乗る男性が訪ねてきます。ローラはときどき母アマンダのふりをして二人が生活しているように見せかけますが、実は母アマンダは既に死んでいて部屋の奥で屍となっているのでした。またトムは既に亡くなったと知らされます。 ひとりぼっちで生きていかなくてはならないローラがそこにはいました。

 

 まず吉岡里帆の演技はよかったですね。引っ込み思案だけど、感受性豊かな女性の気持ちの起伏が演技でよく表れていました。物悲しくも可愛く美しい女性、また足が不自由な方の動作の表現もよかったです。テレビドラマやCMで見せる役柄とも違って、幅の広い演技ができる方だなと感心しました。 もちろん他の渡辺えり尾上松也和田琢磨の演技もよかったです。

 

 「ガラスの動物園」は、渡辺えりが学生時代に観て影響を受けた、忘れえない1作だそうで、その気持ちのこもった舞台になっていたと思います。不況の時代のアメリカの、ちょっと不幸な家庭。そしてその中でも足が不自由で内向的な姉のローラ。「ガラスの動物園」はローラの夢想であり、角が折れたユニコーンや実らない恋は現実でした。そしてローラの取り巻く母と弟の不和。でも二人にはローラを見つめる愛もありました。それぞれの想いと人生がある、そんな家族です。これは作者 テネシー・ウィリアムズの自伝的作品だそうです。 心に沁みました。

 

 「ガラスの動物園」といえば、先日読んだ小川洋子著の短編集『掌に眠る舞台』の中の一遍「ユニコーンを握らせる」で題材になっていました。女学生がかつて女優だったという“ローラ伯母さん”の家に受験のために泊まりに行ったエピソードを綴った小説です。“ローラ伯母さん”は食器に「ガラスの動物園」のセリフを記していて、それを日々読み上げます。そして角の折れたユニコーンも登場します。感受性豊かな女学生が出会うと“ローラ叔母さん“の不思議な生活。いい小説でした。

 

 

 

いろいろいい作品がありますね。

 

劇「ガラスの動物園・消えなさいローラ」は山形公演、大阪公演もあるとのことです。

 

[山形公演]
2023年11月23日(木・祝)
やまぎん県民ホール

[大阪公演]
2023年11月25日(土)、26日(日)
松下IMPホール

 

ではでは。

 

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舞台「ねじまき鳥クロニクル」を観てきた。すさまじい! 舞台のデザインと造り、人間の動き、演技とライブの音楽

 11/14(火)のことですが、劇「ねじまき鳥クロニクル」を観てきました。2020年の初演も観ましたが、そのときの感動が忘れられず今回の再演も観に行きました。 そして改めて舞台演出x役者x音楽が醸し出す不思議な世界に引き込まれました。いい劇です。

 

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会場は池袋の東京芸術劇場 プレイハウス。初演もここでした。

 

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 まずすごいのは、舞台デザインとそれの使い方です。少し奥が高い斜めの舞台と、それを囲うように立つ複数の四角い枠があります。その枠が移動したり、様々な照明によりシーン、シーンで異なる空間が現れます。

 

 舞台デザインの模型

 正面から。

 

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 少し上から。


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 側面から。


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 そして人々の動きがユニークです。主人公などのセリフのある人物の演者以外に複数のダンサーも現れます。 演者とダンサーが、踊ったり、飛び跳ねたり、うねったり、絡みあったりなどの動きにより不思議なものを表現します。

 

 また舞台上には穴や扉が仕込まれていて、人物の出入りもユニークです。たとえばソファの背もたれと座面の間のすきまから人や得体の知れない物がくねりながら出入りしたりします。

 

 舞台や人物の動き以外にもちろん役者のセリフもあります。そのセリフもありふれたものではなくひとつ、ひとつが意味深です。

 

 音楽は、生のライブ演奏なのですが、それがとても効果的で舞台の臨場感を増幅させています。

 

 お話は、成河/渡辺大知の二人が演じる主人公 岡田トオルが、行方不明になった飼い猫と、その後いなくなった妻を追い求めることを軸足に進みます。 妻にはお兄さん 綿谷ノボルがいるのですが、主人公は元々彼を好きではなく相容れない関係でした。追い求めるうちに岡田トオルは、井戸の奥の世界に迷いこみ、災難の背景に綿谷ノボルがいることを知り、彼と争い最後に克服します。 途中、知り合った若い女門脇麦演じる笠原メイとの交流が横軸と描かれます。笠原メイの可愛さは、深刻な物語のなかでいい清涼剤になっています。 また中国の戦争でノモンハン事件の惨劇を経験した本田伍長と間宮中尉のエピソードが織り交ぜられます。

 

 原作はだいぶ前に1回読んだだけなので、再度、読みたくなりました。

 

 演出・振付・美術 インバル・ビント、脚本・演出 アミール・クリガー、脚本・作詞 藤田貴大、音楽 大友良英 という方々。この不思議な世界を造り上げたことは素晴らしいです。

 

 この日は、主演の成河x渡辺大知x門脇麦 の「ねじまき談話室」という15分間の座談会が最後にありました。 各演者の想いや姿勢がわかったのが面白かったです。門脇麦さんの快活でちょっとあっけらかんとした話し方が、テレビドラマやこの劇で演じている雰囲気と違って新鮮でした。この座談会 は、成河さんの失言で炎上してしまったのが残念ですね。

 

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 どちらにしろいい舞台でした。 映画とかにはない、「リアルの舞台」のよさがここにはありました。もう一回観たいなと思いました。またインバル・ビントの他の作品があれば是非観たいです。

 

  東京公演は11月26日(日)まで、大阪公演は12月1日(金)~3日(日)、愛知公園は12月16日(土)・17日(日)にあるそうです。おすすめです。

 

 ではでは。

 

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別のところで書いた初演を観たときのブログ

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