舞台「ねじまき鳥クロニクル」を観てきた。すさまじい! 舞台のデザインと造り、人間の動き、演技とライブの音楽
11/14(火)のことですが、劇「ねじまき鳥クロニクル」を観てきました。2020年の初演も観ましたが、そのときの感動が忘れられず今回の再演も観に行きました。 そして改めて舞台演出x役者x音楽が醸し出す不思議な世界に引き込まれました。いい劇です。
会場は池袋の東京芸術劇場 プレイハウス。初演もここでした。
まずすごいのは、舞台デザインとそれの使い方です。少し奥が高い斜めの舞台と、それを囲うように立つ複数の四角い枠があります。その枠が移動したり、様々な照明によりシーン、シーンで異なる空間が現れます。
舞台デザインの模型
正面から。
少し上から。
側面から。
そして人々の動きがユニークです。主人公などのセリフのある人物の演者以外に複数のダンサーも現れます。 演者とダンサーが、踊ったり、飛び跳ねたり、うねったり、絡みあったりなどの動きにより不思議なものを表現します。
また舞台上には穴や扉が仕込まれていて、人物の出入りもユニークです。たとえばソファの背もたれと座面の間のすきまから人や得体の知れない物がくねりながら出入りしたりします。
舞台や人物の動き以外にもちろん役者のセリフもあります。そのセリフもありふれたものではなくひとつ、ひとつが意味深です。
音楽は、生のライブ演奏なのですが、それがとても効果的で舞台の臨場感を増幅させています。
お話は、成河/渡辺大知の二人が演じる主人公 岡田トオルが、行方不明になった飼い猫と、その後いなくなった妻を追い求めることを軸足に進みます。 妻にはお兄さん 綿谷ノボルがいるのですが、主人公は元々彼を好きではなく相容れない関係でした。追い求めるうちに岡田トオルは、井戸の奥の世界に迷いこみ、災難の背景に綿谷ノボルがいることを知り、彼と争い最後に克服します。 途中、知り合った若い女性 門脇麦演じる笠原メイとの交流が横軸と描かれます。笠原メイの可愛さは、深刻な物語のなかでいい清涼剤になっています。 また中国の戦争でノモンハン事件の惨劇を経験した本田伍長と間宮中尉のエピソードが織り交ぜられます。
原作はだいぶ前に1回読んだだけなので、再度、読みたくなりました。
演出・振付・美術 インバル・ビント、脚本・演出 アミール・クリガー、脚本・作詞 藤田貴大、音楽 大友良英 という方々。この不思議な世界を造り上げたことは素晴らしいです。
この日は、主演の成河x渡辺大知x門脇麦 の「ねじまき談話室」という15分間の座談会が最後にありました。 各演者の想いや姿勢がわかったのが面白かったです。門脇麦さんの快活でちょっとあっけらかんとした話し方が、テレビドラマやこの劇で演じている雰囲気と違って新鮮でした。この座談会 は、成河さんの失言で炎上してしまったのが残念ですね。
どちらにしろいい舞台でした。 映画とかにはない、「リアルの舞台」のよさがここにはありました。もう一回観たいなと思いました。またインバル・ビントの他の作品があれば是非観たいです。
東京公演は11月26日(日)まで、大阪公演は12月1日(金)~3日(日)、愛知公園は12月16日(土)・17日(日)にあるそうです。おすすめです。
ではでは。
別のところで書いた初演を観たときのブログ