あいしろう blog IMAGINE

想像してみよう。それは何をもたらす? この後どうなる?   ときに楽しい夢を。ときには厳しい視点で。 

読書「この国のはじまりについて」司馬遼太郎対話集を読んだ。関東ってなんなんだろうね?

 日本周遊旅行をして以来、さらに日本の古代史、歴史に興味がある私ですが、タイトルに惹かれ司馬遼太郎の対話選集の「この国のはじまりについて」を手に取ってみました。対談なので読みやすく、古代というより鎌倉時代以降に表舞台に出た関東ってなんなんだろうと興味が湧きました。

 

 

 

 この本は歴史小説家 司馬遼太郎が、12名の著名な学者等と対談した内容をまとめたものです。 タイトルが「古代から中世へ」と「日本語の本質」という二部構成になっています。

 

 私には前半の「古代から中世へ」が日本の生い立ちを垣間見られて興味深く、特にその中でも、歴史学者 林屋 辰三郎(はやしや たつさぶろう)との対談「歴史の夜咄」、歴史小説家 永井 路子(ながい みちこ)との対談「鎌倉武士と一所懸命」が面白かったです。

 

 司馬遼太郎は、関東の各地から武家が台頭し源頼朝を元に日本を平定した鎌倉時代以降に現代に通ずる文化が生まれ、それより前の平安時代以前は遠い異世界の文化だと語っています。源氏物語などは江戸時代の本居宣長のフィルターを通して再発見されたのであって今の文化には続いていないとも言っています。

 こういう経緯もあり、どうも司馬遼太郎鎌倉時代以前の日本にはそれほど興味がないようです

 

 武家が登場して京都や上方の文化は世間から追い出されるように衰退した面はあるのでしょうね。

 

 鎌倉時代以前の関東の史料は少ないそうですが、京都から流れてきた人が関東を農地として開墾したのではないか、関東平野は湿地で稲作や人が住むのには適さず当初は丘陵地帯に農業が営まれ、そのうち豪族が生まれ武家の頭領となったのだろうとのこと。この頃から自分の土地を大事にし頑張るという「一所懸命」という概念が生まれたのだろうとのこと。

 

 現在は東京を中心に繁栄している関東ですが古代から鎌倉時代江戸幕府ができるまでの関東を想像すると興味深いです。

 

 後半の日本語の部でも方言を拠り所に言葉の起源、歴史を紐解く話は面白かったです。日本語の標準語では、母音で終わる開音節の単語が多く、子音で終わる単語は苦手だが、薩摩には子音で終わる単語があるのだそうです。どこからどう言葉が生まれ生きているのか想像すると面白いです。

 

 それにしても確かに一般の日本人は子音で終わる言葉が苦手ですよね。 日本に住んでるイギリス人の知り合いは「紅茶をHotで」という文を「紅茶をホッで」と“トォ”を強調するように茶化してしゃべってました。(本来の英語では、Hotの "t" は軽い子音としてほとんど聞こえません)

 

 この本を読んでると司馬遼太郎の教養の深さと、好奇心旺盛さが伝わってきます。著名人との対談ですが、ほとんど司馬遼太郎がしゃべっていて、話をリード、持論を展開している感じでした。パワーのある方だったのですねえ。

 

 こうやって文化と、その経緯としての歴史を考えるのは楽しいです。 この対話集は他の巻もあるので読んでみようかな。

 

ではでは。