森山大道の写真集「何かへの旅 1971-1974」が図書館にあったので借りました。
やっぱりすごいですね、この方の写真は。
ご存じの方が多いとは思いますが、森山大道は「アレ・ブレ・ボケ」といわれる作風で世界的に有名な写真家です。1938年生まれで現在84歳。「三沢の犬」という写真が有名です。
私も「三沢の犬」を見て衝撃を受けた記憶があります。それから、ときどき展覧会や、写真集をかいつまんではいましたが、あらためてこの写真集を手にとって、すごい写真家だなと思いました。
写真集「1971-1974」は、雑誌「アサヒカメラ」に1971年から連載された写真がまとめられています。上記の「三沢の犬」もこの写真集に入っています。
下記の本人の言葉がこの写真集を表しています。
「ただ、ぼくの周囲に生起するあらゆる現実をいちべつし、つねに皮膚で交差しながら、何かを探しに行く途上で、もし、おぼろげにでも見えてくるなら幸いなことだと思うのです」(出展:森山大道 「何かへの旅 1971-1974」)
彼の撮影手法はスナップショットで、そこで起こっていることを切り取るように撮影しています。それを色々な土地で行った一連の写真を載せています。白黒写真が多いですが、カラー写真も含まれます。
単なるスナップショットです。しかしそこには街の人の「やばさ」が出ています。そのときの、その場所の臭いや息を感じます。それはちょっと臭いものです。爽やか、綺麗とは対極のものです。でもそれが人間、生活、街、生命、自然の本質なような気がします。
なぜそう感じるのか理由はわかりません。絵の切り取り方、アングル、光の当たり方と陰影、粗さなどのいろんな要素が、その味を出しています。
私はその臭い写真が好きです。
森山大道以降、多くの「もどき」が出て、似たような作風が出たと聞きます。でも本物はすごいです。
ではでは。