録画しておいた朝ドラ「本日も晴天なり」をやっと見終えました
1981年(昭和56年)に放送された朝ドラですが、3月まで再放送をしていて録っておいたのです。しかしなかなか追いつかなくて今日、最終回までたどり着きました。途中、何回か涙ぐみながら、一人の女性の半生とその家族の物語を楽しみました。いやー面白かった。
お話は、昭和元年に東京下町、人形町に生まれた原日出子さん演じる女性 桂木元子が戦争中にアナウンサーになり、その後、家族を持ちながらルポライターになり、最後1冊の本を出すまでの半生を描いています。
私は何も事前情報なしに観だしたので、最初は、タイトルから多分、NHKの女子アナウンサーの生涯を描いてるんだろうなあ、と勝手に思い込んでいました。そんななか、初期のアナウンサー要員として応募するエピソードの頃は、少し古臭い演出やセリフ、若い女性友達との会話もあまり興味が沸かず、正直、ちょっとつまらないと思っていました。 ただ主人公より、人形町にある老舗の実家の津川雅彦演じる父 の「てやんめぇ」という江戸っ子ぶりや、その周囲の人々が、可笑しかったので見続けていました。
しかし東京空襲や終戦を迎えたあたりから、戦争の厳しさと、登場人物たちの物語に厚みが増し、ぐんぐん引き込まれていきました。
友人の死、帰還しない兄、恋愛、起業と仕事、結婚、兄弟姉妹の生活、周囲の人々の生活、流産と出産、旦那の故郷、島根県への帰郷とそこでの生活、旦那の事故、ルポライターの活動開始、息子の独立など多くのエピソードが続きます。
最終話は、初の単行本出版を終え、昭和のオイルショックの騒動の中、女性の出産の事件を追うルポライターとして、駆ける主人公をカメラが追って物語が終わります。
この作品は、NHKアナウンサー出身の作家 近藤 富枝(こんどう とみえ)さんがモデルで、脚本は小山内美江子さんが書かれているそうです。この脚本は素晴らしいと感じました。小山内美江子さんは、同時期に「3年B組金八先生第1シリーズ」を書かれ、古くはウルトラQの脚本もされたことがあるそうですね。
周囲の役者陣も著名な方や、このころはまだ初々しい方など多くの方がいて、それぞれの演技は心に沁みました。
このドラマには、最近の朝ドラにはない物語のリアル感と重厚さを感じました。セリフや、映像、演技には少し古臭さ、噓臭さを感じるのです。しかしそれらを凌駕してエピソードやセリフが心に迫ってくるのです。それは実話をベースにしているからかもしれません。また戦争があり、その後の急激な成長と変化があった昭和という時代が、重かったからかもしれません。でもその重さが私は好きでした。
今は人の生活も文化も、いい意味で軽快です。その中でも凝った趣向で物事を切り取った面白い作品もたくさんあります。私はそれらを大好きです。
でも反面、軽すぎる面もあると思います。戻る必要はないと思いますが、昭和の時代の生活やドラマを見直す作業は悪くないなと思いました。
また舞台になった人形町や水天宮辺りは行ったことはあり、下町感が残っていて好きな場所なのですが、あまり詳しくないので、また訪問してみたいと思います。
ではでは。